岩手県・浄法寺町へ…⑥漆を守り、育てる町で、日本の美の心髄を伝える殿堂<滴生舎>へ

 浄法寺町での旅の最後は、<浄法寺歴史民俗博物館>で勧められた<滴生舎(てきせいしゃ)>でした。
 <滴生舎>は漆製品の展示販売をし、かつ工房も兼ねているので制作の過程を見学することもできます。
 浄法寺は古くから<南部漆器>の産地として名を馳せてきました。そのルーツは<天台寺>のお坊さんが、寺で使うために作った什器だそうです。漆塗りの什器は当時から身分の高い、低いの別なく使われ<暮らしの中に溶け込んだ器>で、その心は今も変わりありません。
 現在、日本で使われている漆の98パーセントは輸入品。国産の漆はなんと2パーセント弱だそうです。その2パーセントのほとんどが浄法寺産です。輸入品と国産品とでは成分や精製方法が異なり、使ってみると善し悪しがはっきりするそうです。善し悪しは言い過ぎかもしれません。日本の建造物や什器には、国産の漆が合っていることが実感できる、と言うことでしょう。
 天台寺の修復時はもちろん、日本の代表的な文化財の保護には不可欠な一滴。その一滴を守るために浄法寺では町をあげて植栽活動を行い、森を守り、育てる活動をしているそうです。<育てる>の中には、日本の伝統文化を守る漆掻き職人(漆を採取する人)さん、制作する漆師さんの育成なども含まれています。
 ウルシの実からは、ロウソクや日本髪を結う鬢付け油も作られていたそうです。知りませんでした。そうそう、アルゼンチンでは、発表会などで髪を結うとき鬢付け油の代わりに、小さいとき父が整髪に使っていた、独特のにおいのポマードを使っていましたっけ。何でも工夫だな、ってボランティアをしながらお弟子さんに教えられました。
 
 <滴生舎>からの帰りはJRバスで<天台寺>から<二戸駅>へ。客は姐さんひとり、貸し切り状態で運転手さんがいろいろ話してくれました。都会では客と運転手と話したりしたら怒られますね。のどかです、田舎は。車の数も少ないし。春の盛りだから、運転手さんとすぐ隣の一人席に座っている姐さんを乗せたバスは、花盛りの桜のトンネルをくぐり、話の花も咲いたのです。
 姐さんがいま、いちばん凝っている趣味は<篠笛>。篠笛のお稽古をしながら気がつきました。笛の内側には漆が塗ってありました。昔は和船の底にも漆を塗ったとか。漆を使うと早く走るそうです。漆さんにはいろいろお世話になっているんですね、日本の古き、よき品物は特に。

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(画像上)<滴生舎>は広場の一角にある。杉林やウルシの森を背景にした広場には、瀟洒な建物が3棟。一棟には水車が回っている。寂聴師の<あおぞら法話>のときには、店舗に開放されるとか
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(画像上)<天台寺>から<二戸駅>に帰るときのバスから見えた砕石工場。二戸の山はほとんどが岩山。山の形が変わるほど、建設用として岩が崩されていく。バスの運転手さんは「日によって、山がいろいろな顔に見える」とか。自然破壊に繋がらなければいいけど……
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(画像上)二戸のみどころのひとつ、<馬仙峡の男神岩(左)と女神岩(右)>。二戸は岩手県最北の市。奥羽山脈と北上山地に囲まれる緑豊かな市。奥中山は二戸郡一戸町になる

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この記事へのコメント

ビオレタ
2013年05月28日 16:50
いい旅しましたね?

待ってま~す。何を?って。わかって欲しい。
よいこ
2013年05月29日 09:14
 漆っていいですよね。バスの中でのひとコマ、なんかドラマみたいです。景色が浮かんできます。姐さんの文章は本当に読みやすいし、素敵

 日曜日 楽しみです。

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